2011 Fiscal Year Annual Research Report
日米水法の比較法的研究―流域環境の総合的健全化の観点から―
Project/Area Number |
22730105
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松本 充郎 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (70380300)
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Keywords | 新領域法学 / 水法 / 環境法 / 水利権取引・水取引 / 地下水の持続的利用 / 安全採取量 / 配分原理 / 生態系修復 |
Research Abstract |
2011年度は、ダムに代わる渇水調整の手法として、1.水融通及び2地下水の持続的利用について検討し、さらに、3.地表水の利用に伴う生態系への影響の緩和手法について検討した。 1.水融通日本における水取引の事例である三田用水事件(松本充郎「河川法」北村喜宣他編『行政法用語辞典』法学書院・2012年)と米国California州におけるインペリアル灌漑区とサンディエゴ市の水取引等に関する事件であるQuantification Settlement Agreement (QSA)を比較検討した。特に、河川法上の水利権とCalifornia州法上の水利権概念および河川法改正の方針については、Antonio Rossmann弁護士をはじめとする国内外の研究者及び実務家と意見交換を行った。 2.地下水の持続的利用日本には、地下水につかて、利用権の配分原理や利用の上限について規定した包括的な法律はなく、裁判例上もこれらの点は明らかではなかった。しかし、旧紀伊長島町(現三重県紀北町)の水道水源保護条例は安全採取量と地下水利用権の配分原理を暗示し、廃棄物処場の設置を巡る紛争に関する下級審判決はこれらを承認しており、事実認定の誤りを補正すれば先例的価値が高い(松本充郎「地下水法の現状と課題」(高知論叢102号・2011年)69-96頁)。 3.地表水の利用に伴う生態系への影響の緩和手法新保輝幸と共編著で『変容するコモンズーフィールドと理論のはざまから-』(ナカニシヤ出版・2012年、分担執筆者は飯國芳明・緒方賢一・高橋勇夫他)を出版した。特に、その第3章において地表水の利用に伴う生態系への影響の緩和について、(アメリカ西海岸のKlamath川における天然サケの再生と比較しつつ)天然アユに代表される生態系への悪影響を緩和するための施策とそれらを実施するための法制度について検討した。
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Research Products
(4 results)