2010 Fiscal Year Annual Research Report
法制度における性・性別の射程:性的指向・性自認の法的位置づけに関する研究
Project/Area Number |
22730106
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
谷口 洋幸 文京学院大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90468843)
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Keywords | 国際法 / ジェンダー / セクシュアリティ / 差別 / 人権 |
Research Abstract |
本研究は、「性的指向」や「性自認」に関運する法解釈・法規定の分析を通じて、法の文脈における「性」や「性別」の射程を解明することを目的としている。 本年度は、女性差別撤廃委員会が採択した一般勧告27(高齢者女性)、一般勧告28(第2条の中核的義務)をうけ、これまでの国際機関レベルにおける性的指向・性自認に関する人権の議論との異同を分析した。これにより、一般勧告28において性的指向(sexual orientation)、性自認(gender identity)の両語が明示された特徴をもちながら、ジェンダーにかかわる人権問題との「交差性(intersectionality)」という文脈で挿入されている特徴が確認できた。交差性の文脈には、他にも人種や宗教、健康、年齢などが挙げられていることから、女性差別撤廃委員会はジェンダーという文脈から直接的に性的指向・性自認を導出しているのではないことがわかる。この点は、規約人権委員会やECHR、ECJなどの解釈と異なる部分である。また、「sexual orientation and gender identity」として括られている点にも同勧告の特徴がある。 このような性的指向・性自認の国際機関における位置づけについては3月に参加した国際会議(第2回アジア・太平洋LGBT人権国際会議、於ウェリントン・ニュージーランド)でも中心的な議題となり、より包括的な人権機関における議題設定について議論がなされており、その内容については次年度に具体的な分析を進めていく。また本年度は、同性間パートナーシップの法的保障を中心に、国内の動向と国際的動向の比較を通じて、性的指向・性自認に関連する国際人権法の動向が問題解決の糸口となりうると考え、学会・研究会等において研究報告も行った。
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Research Products
(3 results)