2012 Fiscal Year Annual Research Report
再商品化と脱商品化―福祉国家再編の新しい政治的対抗軸に関する比較枠組みの構築
Project/Area Number |
22730113
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
田中 拓道 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (20333586)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 福祉国家 / 脱商品化 / 再商品化 / 社会運動 / 政党システム |
Research Abstract |
平成24年度の研究計画は、(1)左派政党の構造を比較したうえで社会運動の影響を考察する枠組みを作り、(2)脱商品化と再商品化の政治的対抗軸に関する研究を総括することであった。(1)に関しては、ヨーロッパ統合やグローバル化の影響によって、左右政党の党派性は重要性を減じており、むしろ2000年代以降は執政権力の集権化のもとでリーダーシップのあり方が各国の政治を分岐させていることを明らかにした(→学会報告「グローバル資本主義と政治学」)。(2)の脱商品化/再商品化概念については、フランス福祉政策の歴史と理念(→論文「公と民の対抗から協調へ」)、現代福祉政策の理念を検討したうえで(→学会報告「承認論から解釈的自己論へ」)、次のような政策上の対抗軸を構築した。すなわち、公的福祉の水準を抑制したうえで、福祉と就労訓練を結び付け、就労能力の強化を目指す福祉政策と、フランスにみられるように「自由選択」の理念に基づいて賃労働以外の社会的活動への参画を重視し、労働・地域コミュニティ活動・家族ケアの選択を保障しようとする福祉政策の対抗である。 以上の考察を踏まえ、再商品化と脱商品化の対抗に関する比較枠組みを以下のように構築した。どちらの政策が採用されるかは、政治的リーダーシップと社会運動の影響力による。執政府に直属する委員会が設置され、少数の専門家によって福祉政策の改革案が作られる場合、再商品化政策へと傾斜しやすい。社会運動アソシエーションが委員会に参画したり、国民会議のような組織によって社会運動アソシエーションの意見が集約される場合、脱商品化政策が採られやすい。以上の枠組みに基づいて、まず保守主義レジームであるフランス、ドイツ、日本の家族政策、反貧困政策を比較した論文を平成26年度中に公刊する予定である。そのうえで、イギリスを含めた先進国の福祉政策を比較する単著をまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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