2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上川 龍之進 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (40346656)
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Keywords | 金融危機 / バブル / 不良債権 / 中央銀行 / 政策決定過程 / 金融政策 / 比較政治経済 / 金融自由化 |
Research Abstract |
本年度はアメリカの経済政策決定過程に関する資料の収集・精読を行うとともに、日米両国の金融危機を比較分析するにあたり必要とされる分析枠組みの構築に取り組み、一定の成果を得た。また主として昨年度に行った日本の金融危機についての研究の一部を論文として公刊した。 第一に、アメリカの金融政策、金融危機に関する文献を収集し、精読した。収集した文献をすべて読了してはいないのだが、事実関係について一定の認識を得ることができた。 第二に、前年度に引き続き、2007年以降の世界金融危機への先進諸国の政策対応を比較する国際共同研究に参加した。研究代表者は日本を担当し、戦後から現在までの金融行政の変遷をたどりつつ、欧米諸国との比較の観点から、世界金融危機の日本への影響について検討を行った。現在、論文として公刊するための修正を行っており、2012年6月にイギリスにて開催される研究会にて修正論文を報告する予定である。この共同研究を通じて、金融危機の比較分析の枠組みを構築するとともに、アメリカをはじめとした先進諸国の金融危機への政策対応について理解を深めることができた。 第三に、主として昨年度に研究を進めていた日本の金融危機への政策対応について英語論文を執筆し、海外の学会で報告し、それを修正したものを論文として公刊した。その論文では、金融自由化と金融危機の関係について検討した。また戦後日本の金融行政について、規制緩和・自由化と再規制の観点から分析を行った論文も公刊した。金融自由化に伴い実施されるべきであった再規制が不十分であったがゆえに、金融危機が発生してしまったと論じたものであり、この分析枠組みを用いて、アメリカの金融危機についても分析できるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中にアメリカの金融政策、金融危機に関する文献を一通り読み終える予定であったのだが、手元に集めた文献すべてを読み通すことはできなかった。学内外で仕事が増え、時間が足りなかったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度の遅れを取り戻すべく、まずはアメリカの金融政策、金融危機に関する文献の精読に努める。それから、これまで検討してきた分析枠組みを用いて、日米両国の比較分析を完成させる方針である。
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