2011 Fiscal Year Annual Research Report
選挙情勢に基づく投票意図の形成と変容:有権者の戦略的行動に関する実証研究
Project/Area Number |
22730118
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今井 亮佑 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (80345248)
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Keywords | 選挙 / 投票行動 |
Research Abstract |
平成23年度に取り組んだ研究は大きく2点にまとめることができる. 第1に,衆議院の選挙制度改革後に行われた5回の総選挙を対象に,戦略的行動を行う際の判断材料(の1つ)と考えられる選挙情勢報道の内容分析を,読売・朝日の2紙について行った.そして,そのデータを総選挙における自民党候補・民主党候補の選挙運動支出データ・得票データとリンクさせた分析を行うことで,自民党候補に関しては,選挙情勢に基づいて選挙運動支出額を調整する(より具体的には,接戦の選挙区ほど支出額が多くなる)という,戦略的行動をとる傾向が見られることを明らかにした(「選挙運動支出の有効性」『年報政治学2011-II』,11-32頁).有権者の戦略的投票について実証的に検討するという本研究課題の目的に直接には合致しないものの,選挙運動支出という限りある資源の利用における候補者の戦略的行動を(管見の限り初めて)明らかにした本論文は,一定の学術的意義を有するものと考えている. 第2に,参院選の前後に実施したWEB調査のデータ分析を行った.調査対象とした愛知県選挙区には2名の民主党候補が立候補したため,2名の民主党候補者間での選択を従属変数にとった分析を行った.その結果,民主党に対する評価の高い人ほど,2名のうち相対的に不利と情勢報道で評価された候補者に投票するという,いわゆる「アンダードッグ効果」の存在が確認された.本研究については,現在,論文を執筆している段階にあり,完成次第学術誌に投稿する予定である.
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