2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730121
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
光本 伸江 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (00511990)
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Keywords | 政治学 / エネルギー全般 / 政策研究 / 地方自治 |
Research Abstract |
エネルギー政策は、戦後から現在に至るまで、日本の最重要政策の1つである。そのため、エネルギー政策が国によって強力に推進されてきたことから、その受け手となる自治体・地域社会に与える影響は非常に大きい。本研究は、戦後日本のエネルギー政策が、エネルギー立地自治体とその自治体政策に与えた影響を明らかにすることを目的とする。 当該年度では、第1に、前年度に引き続き、既存の研究蓄積について資料・文献調査を行った。具体的には、石炭政策、原子力政策、新エネルギー政策に関する研究を対象としている。我が国のエネルギー政策の流れに関する研究も含まれている。 これに加えて、昨年度生じた東日本大震災における福島第一原子力発電所の原子力災害に関する資料・文献調査を並行して行った。福島第一原子力発電所の原子力災害は、本研究の目的である、自治体・地域社釜に与える影響や地域振興の観点から深刻な問題を投げかけており、したがって、これに関する資料・調歪研究の比重が高まった。 第2に、現地調査研究に関しては、研究対象となる自治体に関して引き続きの調査研究を行った。具体的には、北海道夕張市(石炭・旧産炭地)、北海道泊村(原子力発電所立地)、福岡県田川市(石炭・旧産炭地)、佐賀県玄海町(原子力発電所立地)などの、エネルギー政策と自治体政策に関する調査研究を行った。特に、原子力関連施設と立地自治体に関して、福島第一原子力発電所の原子力災害以後、原子力発電所の再稼働問題や「想定外」ではない安全対策、脱原発と地域振興など、山積する問題にどのように対応していくのか、引き続き調査を行う必要がある。 以上のように、当初予定していた研究内容に加え、現在も被害が継続している東日本大震災とそれに伴って生じた福島第一原子力発電所の原子力災害が起こったことで、本研究は、日本のエネルギー政策の見直しという点においても、さらに重要度を増している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福島第一原子力発電所の原子力災害は、国のエネルギー政策のあり方と、その立地自治体に及ぼす影響という観点から研究対象として捉えるべきであり、これまでの研究の蓄積を踏まえて、現在進行形である福島の問題にどのように対応していくべきか、研究を進めている。また、これまでの研究の成果は、今年度刊行した『自治の重さ』に結実し、また、本研究の成果を学会にて報告し、北海道の産炭地との意見交換も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国のエネルギー政策と、エネルギー立地自治体の自治体政策等に関する調査研究を引き続き行った後、これまでの研究の蓄積を論文等で公表していきたいと考えている。 ただし、育児休業取得のため、研究再開が1年後となる。したがって、現地の事情の変化や政策の変更等があると考えられる。これに対しては、現地調査を再度行う、あるいは新たな資料・文献調査が必要となる。
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