2010 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀ドイツ自由主義の政治構想:主権概念の定位をめぐる知的格闘の系譜
Project/Area Number |
22730131
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 准教授 (30374177)
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Keywords | ドイツ政治思想史 / ドイツ公法史 / 連邦国家 / ドイツ自由主義 / ギールケ / プロイス / ベーゼラー / 主権 |
Research Abstract |
本年度は、ドイツ団体思想の大家オットー・ギールケ(1841-1921)とその弟子でありヴァイマル共和国憲法の起草者であったフーゴ・プロイス(1860-1925)の連邦国家論を、パウル・ラーバント(1838-1918)をはじめとする同時代の支配学説との対比において分析するとともに、プロイスの積極的な政治構想を究明した。その結果、プロイスはギールケ国家論のゲノッセンシャフト的側面を受け継ぎ、理論的に見事に結晶して見せたと評価できるが、同時にそこにはギールケ国家論との架橋しがたい断絶が見られることも明らかとなった。したがって、プロイスの国家論がギールケの有機体的国家論の影響により混乱に陥ったとするカール・シュミットの評価は必ずしも当たらないことを解明した。 これら研究成果は、法制史学会近畿部会(京都大学)とドイツ史研究会(東京大学)において発表するとともに、『ジュリスト』上の邦語論文と現在編集作業が進められているドイツの出版社からの共著(書名未定)の独語論文として取り纏めた。さらに、プロイスの政治構想に関する論文を共著図書のための論文として別途執筆中であり、来年度中に公表する予定である。 これら本年度の研究は、プロイスの政治構想がいかなる形でヴァイマル憲法構想に結実したのかという点を解明しようとする次年度の研究のための土台をなすものである。
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