2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際規範の形成・発展と浸透:欧州と東アジアの循環型社会形成を事例として
Project/Area Number |
22730133
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
高橋 若菜 宇都宮大学, 国際学部, 准教育 (90360776)
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Keywords | 国際規範 / 循環型社会 / 北欧 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究で明らかにしたい内容は以下3点である。 1)循環型社会形成にかかわる国際規範のサイクルを、国際レベル・地域レベル(リージョナル)・国レベル・地域レベル(ローカル)での相互作用の中で、実証的に明らかにすること。 2)1)の実証研究に基づき、国際規範のサイクルについて理論的示唆を得ること。 3)1)の実証研究に基づき、現実問題である循環型社会形成に向けた国際協調を進める上での、政治的課題を導き出すこと。 この目的に基づき、平成22年度は、以下の2点について研究を進めた。 1)分析概念・枠組の確立することをめざし、国際規範や国際協調に関する理論研究の先行研究を調査した。 2)実証研究に向けて予備調査を行い、研究のデザインを行った。予備調査の結果、循環型社会形成に関わる国際規範については、以下の見られるようなルートで形成・発展・浸透・内部化されてきたものと推察される。 a)スウェーデンで発祥した国際規範はEUに持ち込まれ、法令化された。 b)スウェーデン・EUから発祥したアイデアは、OECD、UNに持ち込まれ議論を経て規範化された。 c)国際規範はEUで法令化され、EU諸国・各都市に浸透・内部化が求められた。 d)スウェーデン先進都市とバルト海諸国(新たにEU入りした国)都市等で、都市間ネットワークを通じた協力が進展しており、バルト海都市における国際規範の浸透をさらに促進していることが推察される。 e)国際レベル(とくにOECD)での国際規範形成・発展:日本(国レベル)は規範の形成・発展に関する議論に積極的に参加するとともに、独自解釈を持って日本に持ち込んだ。 f)韓国はUN、OECDで議論された国際規範をそのままの形で導入した。 これらの推察をもととして、さらなる因果的推論のための作業仮説を提起することが次年度の課題である。
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