2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際規範の形成・発展と浸透:欧州と東アジアの循環型社会形成を事例として
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22730133
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
高橋 若菜 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (90360776)
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Keywords | 国際規範 / 循環型社会 / 北欧 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究は、国際規範が何故いかにして形成、発展されたか、これらがなぜいかにして国家さらには地域レベルにまで浸透あるいは変容し内部化されたかに関心を寄せ、循環型社会形成にかかわる国際規範をとりあげ、国際規範の浸透・変容を左右する国内政治要因は何かについて、循環型社会形成分野を対象として実証を行い、国際規範のサイクルに関する理論的示唆を得ることを目的としている。国際レベル(インターナショナル)・地域レベル(リージョナル)・国レベル(ナショナル)・地域レベル(ローカル)の相互作用の中で、国際規範の相互作用を実証的に明らかにしようと試みた先行研究は例を見ず、挑戦的・先駆的研究と位置付けることができる。 この目的に基づき、平成23年度は、以下の2点について研究を進めた。 1)理論的側面:分析概念・枠組を確立させることをめざし、国際規範や国際協調に関する理論研究の先行研究を継続して調査した。 2)実証的側面:循環型社会形成に関わる国際規範のうち、拡大生産者責任原則をとりあげ、昨年度の研究の中で明らかになった当該国際規範の形成・発展・浸透・内部化ルートに関する推論に基づいて、日本の2都市(宇都宮市および新潟市)について実証研究に着手した。具体的には、当該規範に基づいて実施された一般廃棄物のプラスチック分別回収資源化施策が、いつどのようにして日本の地域レベルで内部化され受容されたかについて、新潟市(2008年導入)および宇都宮市(2010年導入)においてフィールドワークを行なった。フィールドワークでは、市民による規範の受容・実践に関する理解を参加型観察により深めることを目的として、研究者自身も日常生活の中で施策を経験的に実践し観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的側面、および実証的側面の双方において研究を進展させることができた。とりわけフィールドワークについては、新潟市にて実証研究に着手することができたことが重要な進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、国際規範の発祥国であるスウェーデンにおける、フィールドワークに重点をおいて、さらなる実証研究を深めていく。具体的には、以下の点について政治学的視点から動的・実証的に明らかにすることを試みる。 1)当該国際規範(EPR原則)がなぜどのようにしてスウェーデンにおいて発祥し、国際規範として確立されるに至ったのか(=国際規範の発祥と形成プロセス)。 2)当該国際規範が、発祥国スウェーデンの国内、とりわけ地域レベルにおいてどのように受容されたか(=国際規範の発祥国における受容・実践)。
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