2011 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期におけるイギリスの東アジア秩序構想と満州1921~31年
Project/Area Number |
22730138
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
古瀬 啓之 三重大学, 人文学部, 准教授 (70509174)
|
Keywords | 両大戦間期イギリスの東アジア政策 / ワシントン体制 / 満州をめぐる日中関係とイギリス / 九カ国条約とイギリス / ワシントン会議 |
Research Abstract |
本年度の目的は、満州事変を中心に、1931年から1932年にかけての東アジア国際関係、ならびにイギリスの東アジア政策、東アジア秩序構想を考察していくことである。 上記のような目的を基にして、本年度は、まず、前年度にイギリス国立公文書館で収集した1921年~22年のワシントン会議に関する一次史料の読解を引き続き行った。その結果、会議においてイギリスが、ある一定の東アジア秩序構想を持ち、それが九カ国条約と密接に関係していたことがさらに明らかとなった。具体的な内容については、今後、学術論文として公表していく予定である。 また、満州事変に関する先行研究の調査も継続的に行い、その上で、2月13日~22日にかけてイギリスの国立公文書館に向かい、満州事変ならびにそれ以降の事件に対するイギリス外交に関する外交史料の収集を行った。収集した史料は、イギリス外務省ファイルFO371所収のものであり、デジタルカメラ撮影による収集をおこなった。史料は主に1931年9月の満州事変から1932年にかけてのものであり、収集した史料は約6100枚にわたる膨大な量となった。 本年度収集した史料は、現在読解を行っている最中であるが、現在までのところ次のような論点を導き出すことができた。それは、中国が、満州事変後と上海事変後の双方において、国際連盟へ訴えた際のイギリスの対応、政策の比較である。この対応の相違点と共通点を探ることにより、当時のイギリスの東アジア秩序構想をより明らかにできるものと考えられる。 以上のように、本年度は本研究課題の研究成果をあげるための基盤を整えることができたと言える。来年度は、研究成果を公表する準備を本格的に進めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、満州事変を中心に1931~1932年の間のイギリスの東アジア政策を考察することを目的としたが、本課題に必要な当該期の重要かつ有益な史料を目的通り収集することができ、さらに読解に着手し、論点を明らかにできたという点で、計画通り研究を進められたと考えている。したがって、おおむね本年度の計画は達成できたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ワシントン会議期に関する論文公表作業が遅れ気味である点が課題であり、来年度はこれについてまず着手したい。また、来年度前半は、史料収集、先行研究の調査など前年度同様の研究を行うが、後半は1931年~32年に関する研究論文を公表する作業に本格的に取り組んでいく。
|