2011 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ対中政策と台湾地位未定論―対日講和条約第2条b項の形成過程
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22730139
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 慶吉 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (60456928)
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Keywords | 台湾 / 対日講和 / ダレス |
Research Abstract |
本年度は、主に下記の2点に重点を置きつつ、研究を進めた。 ひとつ目は、本研究に関する資料の調査・収集である。平成23年の年末から翌年にかけて10日間ほど、イギリス・ロンドンにある公文書館(National Archives)において、平成24年3月には1週間ほど、アメリカ・メリーランド州カレッジパークにある公文書館(National Archives)において資料の調査・収集を行った。対日講和条約の作成過程において、イギリスがアメリカほどではないにしろ、重要な役割を果たしたことはよく知られている。対日講和条約第2条b項の形成を知る上でも、イギリスの役割やその影響力を無視することはできない。そこでイギリス公文書館では、イギリス外務省の対日講和条約関連の資料や、対日政策・対中政策に関わる資料の調査・収集を行った。一方、アメリカでは、主として国務省資料の調査・収集に当たった。イギリスにおいても、またアメリカにおいても、多くの貴重な資料を収集することができたと考えている。 ふたつ目は、ジョン・フォスター・ダレス(John Foster Dulles)の対中政策論に関する論文の執筆である。ダレスとは、アメリカ国務省顧問(のちに大使)として、対日講和条約の作成に中心的役割を果たした人物である。そのダレスの対中政策論に関する深い理解は、対日講和条約第2条b項の形成過程を分析する上で欠かせない。そこで昨年度に収集した資料も利用しつつ、ダレスの対中政策論を分析し、それに関する論文の執筆に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、そして本年度とも、研究実施計画に記載した資料の調査・収集を行うことができた。収集した資料の分析作業もおおむね順調に進んでいる。さらに本年度においては、これまで収集した資料を利用し、ダレスの対中政策論に関する論文の執筆にも取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは現在執筆に取り組んでいる、ダレスの対中政策論に関する論文を仕上げたい。また台湾の国史館、もしくは東京の国会図書館・憲政資料室にて資料の調査・収集を行いたい。最後に、研究成果報告書において、対日講和条約第2条b項の形成過程を詳らかにしたいと考える。
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