2011 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代日本の国際秩序論の「社会外交史」的研究
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22730140
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
酒井 一臣 京都橘大学, 文学部, 助教 (10467516)
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Keywords | 社会外交史 / 外交の民主化 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き、関係文献の収集と、著書・論文の執筆作業(次年度に継続)をおこなった。関係文献収集に関しては、数度にわたり外交史料館を訪れ、1930年代の日本の国際秩序認識と、それと比較する意味で、戦後のアジア・太平洋秩序認識に関係する未公刊史料を閲覧した。また、今年度は、伝記資料、日記など、公刊されている個人文書の収集に力を入れ、分析を進めた。 この研究の目的の一つであるである「社会外交史」の観点を、いっそう明確にするため、通史的内容の著書の執筆作業を開始した。平成24年12月の刊行を予定している。 前年度に開始した不戦条約については、11月に「東アジア国際政治研究会」で概要の発表を行い、論文を執筆中である。不戦条約をめぐる論争の内実は、「外交の民主化」を認めるか否かという点にあったことを明らかにする予定である。 また、「日本人の国際移動に関する学際的研究会」で、1930年代後半の島崎藤村の移民論を紹介した。作家の移民論を通じて、日本と西洋文明の関係、知識人の外交問題認識等を明らかにする端緒とする予定である。これについても論文を執筆中である。 前年度の作業過程の中で、大東亜共栄圏を国際秩序論の観点から再考するため、その基礎的研究と共同研究の必要性に気づいた。1月から3月にかけて、新たな研究グループ発足に向けた準備作業及び関係文献に収集を行った。これは来年度に基礎段階の整理を行い、さらに将来に向けて発展させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集は順調に進んだ。 今年度は著書の執筆に取りかかったため、論文の執筆が若干遅れたので、来年度に完成させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究計画最終年として、「社会外交史」の全体像を提示する著書の完成、不戦条約に関する論文の完成をめざす。また、この研究計画を次の段階に発展させるため、あらたな研究グループの活動を開始する予定である。 それに関係して、大東亜共栄圏を国際的文脈の中に置きなおす作業も本格的開始したい。
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