2012 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代日本の国際秩序論の「社会外交史」的研究
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22730140
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
酒井 一臣 京都橘大学, 文学部, 助教 (10467516)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 国際秩序論 / 文明国標準 / 社会外交史 |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究課題の最終年度として、これまでの研究を総括し、次の段階に進むための準備もおこなった。 具体的には、1930年代の国際秩序に関する研究成果として、「「大東亜共栄圏」研究の一視角 共時性としての西洋」(『京都橘大学研究紀要』39)、「文明国標準のアジア太平洋秩序 21世紀への「歴史からの問い」」(『東京大学アメリカ太平洋研究』13)を執筆し、1920年代に引き続いて、西洋文明に準拠する発想が、日本の国際秩序構想に影響を与えたことを論じた。また、8月のオーストラリア・キャンベラにおける史料調査の成果も反映させ、アジア太平洋という枠組みで、30年代の国際秩序論を再考すべきことを指摘した。 また、外交の民主化が30年代の国際秩序論に及ぼした影響について、「不戦条約論再考」(『史林』96-3)を執筆し、国際協調論者ですら外交の民主化に後ろ向きの姿勢であったことを指摘した。 これらの研究の過程で関心が強まったのが、「大東亜共栄圏」の再検討という点である。その特殊性ではなく、同時代の欧米の知的動向との関連を調査研究していくことが重要で、この点は、現在の日本とアジアの関係性、アジア諸国間の共同体構想への考察にもつながるものと考える。以上のような30年代の国際秩序論に関して、新たに研究会を立ちあげ、24年度は2度にわたり研究会を主催した。本研究課題の問題意識を発展させ、さらに研究を進めていくことを期している。 また、明治以来、文明国標準という概念が日本外交に与えた影響を総合的に考察する研究として、『はじめて学ぶ日本外交史』(昭和堂)を執筆した。本書は、一般向けの書物の体裁をとったが、明治から現在までの日本外交を、社会外交史・文明国標準の2点を重視して、再検討したものである。この本により、本研究課題を広く社会に発信する一助にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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