2011 Fiscal Year Annual Research Report
開戦前の対英米・対独ソ交渉と戦時期の戦後秩序形成過程にみる日本の対外戦略の究明
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22730144
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
武田 知己 大東文化大学, 法学部, 准教授 (20311897)
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Keywords | 日本外交 / 第二次世界大戦 / 国際秩序 / 戦略 / 外交交渉 |
Research Abstract |
満州事変から第二次大戦後にかけての日本の対外戦略の本質とその変化を、当時の多国間関係の中で明らかにすることが本研究の課題であるが、当該年度は、目的として掲げていた日中戦争期以前を対象とする研究成果を「日本外務省の対外戦略の形成とその帰結1933-1938」(『年報日本現代史』第16号)として刊行した。また、翻訳「戦争を回避できなかった「大英帝国の親日派」」(アントニーベスト著。『中央公論』12月号)及び「外務省と知識人1944-1945(1)」(『東洋研究』181号)を公表した。前者は、イギリス側の資料調査の副産物といえるものである。執筆者はイギリスの外交史研究をリードする第一人者による論考であり、日英米開戦直前のイギリスの「親日派」の思想や動向を分析したもので、従来の日本の学界における通念といえる日英協調の可能性をめぐる議論に一石を投じるものである。また、後者は第二次大戦下の外務省が対連合国プロパガンダに知識人を活用した史実を明らかにするものである。なお、紙幅の関係から、後半部分は2012年度に公表する予定であるが、前年度目的として掲げていた安倍能成文書調査の成果はこちらに反映される。なお、松本忠雄関係文書(首都大学東京図書情報センター所蔵)の整理の成果を目録及び解説として公表する予定であったが、当該年度は他の仕事との関係より、断念した。他に、本年度海外調査の代替として行った千葉県における加納久朗文書調査の成果は大きかった。加納の1934年から42年にかけての書簡と演説原稿、また1938年から42年までの日記は、情報量が極めて大きく、当時の日英関係史、日本外交史の知見を深めることに有益であると確認できた。次年度に改めてその成果をまとめていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、学内業の関係で、年度末に予定していた海外調査を行えなかった。しかし、それに代えて国内の新資料を調査し、従来用いられてこなかった記録を用いた研究を可能にした。論文の執筆も、上下に分割されたものもあるが、問題なく進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の海外調査は秋にまとめて行うこととする。また最終年度なので、出来うる限り、成果を公表する。
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Research Products
(4 results)