2010 Fiscal Year Annual Research Report
自由貿易協定をめぐる政策過程:日本・韓国の比較研究
Project/Area Number |
22730149
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
金 ゼンマ 早稲田大学, アジア太平洋研究センター, 研究員 (70509562)
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Keywords | 自由貿易協定(FTA) / 政策決定 / 地域統合 / 国内制度 / 日本 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究は、自由貿易協定(Free Trade Agreement:FTA)をめぐる日本と韓国の政策過程の共通点と相違点を明らかにすることによって、(1)政策決定過程に新しい視点を提示し、(2)既存のアジア地域統合研究が射程に入れていなかった政治的側面における有効な分析枠組みを提供することを目的としている。 このような目的を達成するために、前期は、次の3つの取り組みを行った。(1)日韓のFTA政策に関する関連文献・資料の収集を両国で実施し、両国に共通する比較検討事項に関する枠組みを構築し、それに沿って基礎的な分析作業を始めた。資料・文献の整理ならびに分析を通して、日韓のFTA政策を横断的に分析するための理論的枠組みを構築した。具体的には、国内制度が国内社会集団の選好によって変容した過程を提示したGarrett and Langeのモデル(1995)を批判的に検討し、その改良を試みた。(2)その理論的枠組みの有効性を検討しフィードバックを得るために、後期は、日本国際政治学会(10月)、Cross Strait Conference on Public Administration(8月・台湾)、筑波大学世界銀行セミナー(10月)、Sogang University Special Seminar(3月・ソウル)などで報告することで、外部からの意見等を取り込みつつ、さらなる改善を図った。特に、ソウルで行った報告においては、韓国の外交通商部政策担当者及び有識者からFTA政策決定過程に関する多くのコメントを得ることができ、政策決定モデルの更なる発展に繋がる貴重な機会となった。(3)韓国ソウル大学発行の学術振興搭載誌Korean Journal of Policy Studiesに論文を投稿し、日本及び韓国がグローバル金融危機を克服するための新しいパラダイムとしてFTAを提示した。 このような取り組みを早稲田大学COEのアジア地域統合理論の精緻化と並列して行うことで、理論と事例両面における研究の総合体系化を図った。
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Research Products
(9 results)