2011 Fiscal Year Annual Research Report
自由貿易協定をめぐる政策過程:日本・韓国の比較研究
Project/Area Number |
22730149
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
金 ゼンマ 関西外国語大学, 外国語学部, 講師 (70509562)
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Keywords | FTA / 政策決定 / 東アジア / 地域統合 |
Research Abstract |
本研究は、自由貿易協定(Free Trade Agreement : FTA)をめぐる日本と韓国の政策過程の共通点と相違点を明らかにすることによって、政策決定過程に新しい視点を提示し、既存のアジア地域統合研究が射程に入れていなかった政治的側面における有効な分析枠組みを提供するものである。特に本研究では、日本と韓国が、WTO主導の通商政策からFTA政策への転換を遂げ、交渉過程で生じた障害を克服し締結に至った要因を、国内制度及び国内アクターの選好に焦点を当て実証分析した。本年度は、前年度におこなった調査結果をまとめながら日韓の文献調査とインタビュー調査(韓国外交通商部、韓国全国経済人連合会、韓国農業協同組合、日本経済団体連合会、経済産業省、全国農業協同組合中央会)に取り組み、日本と韓国の通商政策転換の背景にある要因を検討した。本年度の研究については、その一部を、韓国の西江大学、漢陽大学、ウソク大学にて報告したほか、2012年4月にInternational Studies Association (ISA)での発表を行った。それらの活動を通して、日韓のFTA政策決定過程に対する知見を提示した。本年度の研究で明らかになったことは、以下の通りである。日韓のFTA政策決定過程における交渉期間、利益集団の動きの時期や強度、リーダシップの違いは、国内アクターの選好、政策連合および国内制度によって説明が可能であることがわかった。特に、交渉過程において政府と利益集団がどれぐらいの意思疎通のチャンネルを持つかによって、交渉の展開が異なることが事例研究を通じて示された。以上の知見を昨年度からの研究結果と合わせて考えると、アジア地域統合を進めるうえで不可欠なアクターである日韓のFTA政策の比較分析は、今後の東アジアFTA締結交渉プロセスにおける政策的貢献にもつながることが発見できた。
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Research Products
(7 results)