2010 Fiscal Year Annual Research Report
二つの中ソ同盟(1945-50)の比較研究―戦後東アジア国際政治の起点
Project/Area Number |
22730150
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
松村 史紀 大阪国際大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (80409573)
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Keywords | 国際政治学 / 東アジア国際政治史 / 中ソ関係史 / 同盟研究 |
Research Abstract |
【目的】本研究は二つの中ソ同盟の比較を最終目的にしているが、H22年度は、第一中ソ同盟(1945年)の成立過程と特徴を史的考察することを目標に研究を進めた。 【内容】戦後東アジア地域の秩序構想は当初、二つの柱((1)戦勝国の大国間協調、(2)戦勝国による敗戦国の管理)から構成されていたが、第一中ソ同盟がその構想を体現するものだったことを明らかにした。特に、中ソ両者の戦後秩序構想を考察しながら、両者の対照的な戦略が不安定な均衡点に達したとき、同盟条約が成立したことを論じた。 【意義】先行研究では、第一中ソ同盟が不平等条約だったかどうかが中心に争われてきた。本研究では、当該同盟が戦後秩序構想(国連の集団安全保障体制)の理念を体現するものとして成立するまでの過程を史的実証し、先行研究の論点を批判的に検討した。 【重要性】(1)独創的な見解として、戦後秩序構想の二つの柱のうち、国府が戦勝国の大国間秩序に重点をおき、ソ連が敗戦国への抑止を重視した結果、同盟が成立したことを実証した。(2)国府関連資料(指導者の日記などを含む)、旧ソ連文書、米国政府の公文書(トルーマン文書)などを幅広く利用するマルチ・アーカイバルな研究になった。 【研究活動の内容】(1)海外への資料調査(主にフーバー研究所、トルーマンライブラリーの中ソ関係関連資料)、(2)4回にわたる研究発表(早稲田大学現代中国研究所、中国現代史研究会)、(3)学術論文の投稿及び発表(既刊のもの以外には、国際的な冷戦史研究の書籍[中国語。近刊予定]に完成原稿を投稿済み)を中心に研究を行った。
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Research Products
(4 results)