2011 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア自動車部品生産ネットワークの展開:域内貿易と地場産業の国際競争力調査
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22730153
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
夏田 郁 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (60454972)
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Keywords | 自動車産業 / 自動車部品産業 / グローバル・バリューチェーン / 産業政策 / 産業発展 / 東南アジア / マレーシア / タイ |
Research Abstract |
本研究は、自由化の波に取り巻かれた東南アジアの自動車産業の発展の課題と可能性を自動車部品産業及び部品貿易の視点から検証することを目的とした。本年はマレーシアに注目して、自動車産業の振興政策と自動車部品産業の集積の現状と産業高度化の分析を行った。 マレーシア政府は2004年にローカルコンテンツ規制を撤廃し、2006年には自動車産業の自由化に対応した新国家自動車政策(New Automotive Policy)を導入した。マレーシア政府は自動車産業の自由化を図っているが、国民車、とりわけ、経営不振のプロトン社を救済する為に、マレーシアには依然として様々な保護色の強い政策が存在する。2006年に産業調整基金(Industrial Adjustment Fund)、産業リンケージプログラム(Industrial Linkage Program)を導入して、政府の補助金及び物品税を、国民車メーカーが有利になるように、自動車メーカーの現地調達率に応じた水準で付与する制度を構築した。また、WTOのルールに反する、Approval Permits(AP)制度と呼ばれる、クオータ(輸入車の数量規制)制度及び製造ライセンス許可制度が存在する。これらの政策の結果、自動車分野における海外投資は少なく、タイと比較すると、マレーシアの自動車産業の発展は比較的緩やかな成長に留まっている。また、アセンブラー(自動車メーカー)数はタイとほぼ同数であるにかかわらず、自動車部品企業数はタイの2390社に対して、マレーシアは690社と、3分の1以下となっており、裾野産業の発展が急務となっていることが調査により明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在、論文を2本(タイ自動車産業・マレーシア自動車産業)作成し、Journal of the Asia Pacific Economy(Taylor & Francis)及びJournal of Contemporary Asia(Taylor & Francis)の国際ジャーナルに投稿し、査読審査中である.査読結果が良ければ、平成24年度中に出版できる予定である。なお、投稿した論文は本学のRCAPS Working Paper形式にて公開中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、タイ・マレーシアの自動車産業の比較研究の論文を作成したいと考えている。
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Research Products
(4 results)