2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730156
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
竹内 幹 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (50509148)
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Keywords | 時間選好 / リスク選好 / 実験経済学 / 行動経済学 |
Research Abstract |
本研究は、タイミング(時間・時期)をともなう経済的行為にあたって個人がどのような意思決定をするのかという問題について、行動経済学・実験経済学的なアプローチで調べている。その意思決定のモデルで重要な役割を果たすのが、時間選好という概念である。たとえば、貯蓄という経済的行為は、現在の消費をあきらめ、その代わり将来に備えるという動機がある。現在と将来を秤にかけるのが時間選好である。 より専門的には、本研究では、時間選好の推定にあたって非線形な利得関数(効用関数)を前提とすることで、時間割引関数の特性を詳しく調べている。研究代表者は、ノンパラメトリックな(特定の数式モデルに依存しない)時間選好の推定方法を考案・提唱しており、その推定方法の特長をいかして、時間割引関数が逆Sカーブになることを確認している。一部の研究結果は、平成23年3月発行の『Games and Economic Behavior』71巻2号に"Non-parametric test of time consistency : Present bias and future bias"として発表(査読付き・単著論文)した。 利得関数の形状に依存せずに時間選好関数を推定するためには、利得の大小と選択肢が独立である実験デザインが必要である。そこで利得の大小ではなく、利得の支払い時期を変更することで誘因を変化させる実験をデザインした。具体的には、時間割引曲線の凹凸を推定するために、支払い時期の期待値が同じとなるような2つの選択肢を提示し、どちらの選択肢を好むかを観察する。支払金額は一定であるため、即時的な効用関数の形状やリスク選好は選択行動に直接影響しない。したがって、時間選好だけを分離することができ、選択行動から時間選好が読み取れる。 平成23年2月にパイロット実験(実験協力者39名)を行った。その結果を解析したところ、時間割引関数が逆Sカーブであることを示唆していた。これらのデータは、より詳しくパラメータを推測する手がかりとなり、今後の実験デザインを考えるうえで有益である。
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Research Products
(4 results)