2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730158
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
坂井 豊貴 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (50404976)
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Keywords | 非分割財 / メカニズムデザイン / 社会的選択 / 公平性 / 世代間公平 |
Research Abstract |
非分割財を、金銭移転を通じて公平に配分する問題を、公平分担問題という。この問題においては、フェアメカニズムと呼ばれるメカニズム(経済制度)が、ゲーム理論的に優れたパフォーマンスを示すことが、私と共同研究者のこれまでの成果により知られている。この更なる性能を、当該年度においては明らかにした。例えば、均衡からの、コアリションによる逸脱が、きわめて困難であることを、強ナッシュ均衡およびそれより強い概念を用いて示した。また、この研究は、私が一般化グローヴスメカニズムと呼ぶ一般的なメカニズムのクラスを考察するための、基礎となるものでもある。なお、以上の研究成果は、共同研究者である藤中裕二氏(東京工業大学)とともに得たものである。基礎理論としては、公平分担問題の重要例である、迷惑施設の立地問題に応用するための土台が、当該年度においてはなされたものと考えている。なお、公平な結果を導くメカニズムの設計を考察するに際しては、何をもって公平と考えるかという、社会的順序についての研究はきわめて重要である。特に、迷惑施設立地問題など、利害の絡み合いが複数世代に関するものであれば、尚更である。この件について、世代間公平の理念を反映する社会的順序の厚生可能性問題を分析した。具体的には、割引因子を全く用いない社会的順序を、極限概念を用いて特徴付ける研究を行った。これは、世代間公平を考える必要のあるシチュエーションでメカニズムデザインを行う場合に、何を持って利得と考えるかの、規範理論に基づく判断基礎となるものである。
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Research Products
(5 results)