2012 Fiscal Year Annual Research Report
メカニズム・デザインにおける均衡調整問題:正直均衡は選択されるのか?
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22730160
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
水上 英貴 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (30377238)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 経済理論 / ゲーム理論 / メカニズム・デザイン / 行動メカニズム・デザイン / 遂行理論 |
Research Abstract |
遂行理論では,設計したメカニズムが複数個の均衡を持つとしても,それらの均衡アウトカムは必ずすべて社会目標と一致している.したがって,メカニズムが複数個の均衡を持つことは理論的には問題とされない.しかしながら,複数均衡を持つメカニズムを現実の制度に適用するとなると,どの均衡の達成を目指そうとするのかを人々の間で調整する必要があり,均衡調整問題が発生する.本研究では,完備情報下での直接表明メカニズムにおける均衡調整問題の解決を目指し,直接表明メカニズムが複数個の均衡を持つときに,その一つに正直均衡を含む場合には正直均衡がフォーカル・ポイントになるかどうかを経済実験で検証した. 本研究では,正直均衡がフォーカル・ポイントになるかどうかを検証するために,複数均衡を持つ場合に正直均衡を含むメカニズムと全く含まないメカニズムを設計し,前者の方が高い均衡達成率を示すかどうかを統計的に検定する手法をとった.フォーカル・ポイントとなりうる均衡としてよく知られているものには,利得支配均衡とリスク支配均衡がある.このうち,社会目標の遂行可能性により,設計したメカニズムが複数個の均衡を持つ場合はそれらの均衡アウトカムは社会目標と一致していなければならないことから,利得支配均衡は存在しないことがわかる.したがって,本研究では,フォーカル・ポイントとなりうる均衡としては,正直均衡とリスク支配均衡の二つが挙げられる. 今年度は,リスク支配均衡が存在する場合においても,正直均衡がフォーカル・ポイントになるかどうかを検証するための経済実験を行い,実験結果を統計的に検定した.その結果,リスク支配均衡が存在する場合においても,有意に正直均衡がフォーカル・ポイントとなることが明らかとなった.この結果から,正直均衡を持つメカニズムを使えば均衡調整問題を解決できる可能性が高いことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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