2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730179
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 賢悟 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50549780)
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Keywords | 計量経済学 / 分位点回帰 |
Research Abstract |
交付申請書の研究実施計画に記したとおり、University of IowaのAntonio Galvao教授とCity University LondonのGabriel Montes-Rojas教授とともに、固定効果分位点回帰推定量の漸近的性質に関する研究を進めた。具体的には、個別効果を含むパネル分位点回帰モデルを考え、個別パラメータと共通パラメータを同時に推定したときの共通パラメータの推定量が、(平均ゼロの)漸近正規性を持つための個人数と時間数に関する十分条件を与えた。今回の研究で明らかになったのは、固定効果分位点回帰推定量については、滑らかな損失関数に対する固定効果推定量と比較して、(平均ゼロの)漸近正規性が成り立つためには、時間数に関してより厳しい条件が(少なくとも証明上は)いることが分かった。また、一般に滑らかな損失関数に対する固定効果推定量の場合、個人数と時間数が同じオーダーで発散するとき、バイアスを持つ正規分布に分布収束することが知られているが、分位点回帰推定量に関しては、こうしたバイアスに関する結果を得ることはかなり難しいことを指摘した。こうした観点から、発想を転換して、分位点回帰の損失関数をカーネルを使って滑らかに近似した損失関数を考えて、対応する固定効果推定量(fixed effects smoothed quantile regression(FE-SQR)推定量と呼ぶ)の漸近的性質を考察した。FE-SQR推定量に関しては、個人数と時間数が同じオーダーで発散するとき、バイアスを含んだ正規分布に収束することを示すことができた。以上の結果はすでに2つの論文にまとめられ、査読付学術誌に投稿中である。
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Research Products
(8 results)