2011 Fiscal Year Annual Research Report
経済時系列分析手法の統計的推測とその応用に関する研究
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22730180
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧本 太郎 九州大学, 大学院・経済学研究院, 准教授 (70403996)
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Keywords | 因果性 / 時系列モデル |
Research Abstract |
多変量定常過程モデルに対して,3種類の単純・偏因果性測度,つまり,一方向効果測度,相互測度,結合測度の全測度と周波数上測度の推定・検定アルゴリズムの開発を行った.因果性測度がある正の値をとる帰無仮説を検定する際に用いるモンテカルロワルド検定の他,非因果性検定としてBreitung and Candelon (2006)の方法の一般化の検討を行った.実証分析を行う場合には,因果性があるのかないのかという非因果性検定のみに関心がある場合に限られるわけではなく,どの程度強いのかについても情報を得たいという状況が自然である.このような問題意識に対応しているのが本研究で提案されるモンテカルロワルド検定である. 以上のアルゴリズムを用いて,3変量のVAR(2)モデルとVARMA(1,1)モデルにおいて,第3系列の有無における影響をシミュレーション分析で調べ,単純因果性測度と偏因果性測度の比較分析を行った.モデルに依存するが,第3系列の影響は無視できないという結果を得た.このシミュレーション結果から,偏因果性測度を検討する意義が再確認された. また,構造変化や非線形性を考慮したエラーコレクションモデルを用いて,日本の国レベルの歳入と歳出のデータ,都道府県レベルの歳入と歳出のデータを用いて因果性分析を行った.国レベルでは,名目・実質・GDP比データを問わず因果関係が検出されなかった.都道府県レベルでは,GDP比データを用いると歳入から歳出方向への因果関係が検出されたが,分析結果はデータの種類に依存することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偏因果性測度の推定・検定アルゴリズムについて,着実に分析の幅が広がっているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はアルゴリズムの精緻化と財政データを用いた実証分析を行った.今後はマクロ経済データを用いた分析や検定の小標本特性を明らかにする予定である.
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