2010 Fiscal Year Annual Research Report
法科大学院の競争戦略の実証分析とミクロ計量モデルの開発
Project/Area Number |
22730181
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
鹿野 繁樹 大阪府立大学, 経済学部, 准教授 (80382232)
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Keywords | 法科大学院 / 高等教育 / 教育の経済学 / 離散選択モデル / パネルデータ |
Research Abstract |
本年度は主に法科大学院個票データの電子データベース化を行った。具体的には日経人材情報『法科大学院徹底ガイド』(2006-2009)の電子化である。これら各年のクロスセクションデータを統合することで、個別法科大学院の経年変化を測ったパネルデータを作成する。パネルデータを用いることにより、観測個体(大学院)の観測不可能な属性をコントロールしたうえでの各種実証分析が可能となる。(ただしデータの接続は未完のため、次年度以降の作業となる。)現段階では、各年のデータを独立したクロスセクションととらえ、各変数の分布や相関を推定するなどの予備的な分析を行った。 一方で、本プロジェクトの研究課題のひとつである、入学時の競争倍率が司法試験合格に与える影響の分析では、アウトカムの離散性をパネルデータの枠組みのなかでどう扱うかが計量経済学上の問題となる。この点に関し、第一に、離散的なpanel stochastic frontier modelの構築を試みた。(ただし、法科大学院データが不完備なため、PSIDの健康状態に関する離散データに応用し、その適用可能性を検証した。)また司法試験合格率のように下方トレンドがある変数をアウトカムとして定義する場合、離散モデルとしてこれをどう処理するかが未解決の問題として残っている。そこで、第二のモデルとして、トレンド付きのpanel probit modelおよびトレンド効果の有無に関する仮説検定(スコア検定)の方法を考案した。こちらはシミュレーションデータへの適用に留まっている。
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