2012 Fiscal Year Annual Research Report
法科大学院の競争戦略の実証分析とミクロ計量モデルの開発
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22730181
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
鹿野 繁樹 大阪府立大学, 経済学部, 准教授 (80382232)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高等教育 / 教育の経済学 / 離散選択モデル / パネルデータ |
Research Abstract |
本年度は、法科大学院個票データのデータベース化(日経人材情報『法科大学院徹底ガイド』各年の入力)を完了させ、データ分析を行った。具体的にはパネルデータによるcorrelated random effects fractional probit modelを用いた、法科大学院の入試時の倍率が終了後の司法試験合格率に与える影響の推定である。この分析の目的は、法科大学院の定員削減が修了生の質の向上につながるか否かを実証的に検証する点である。分析結果として既修者(法学部卒)における入試倍率の合格率に対する正の効果を得たが、前年度から懸念していた変数(サンプル)の欠損の問題は解決されておらず、学会等での発表は保留となっている。これは25年度引き続き検討する予定である。 計量分析の手法の開発に関しては、説明変数と相関するトレンド異質性を持つpanel probit modelの推定・検定方法に関する研究を完成させた。これは、パラメータの設定を工夫することにより、トレンド異質性のあるprobitを、既に多くの統計ソフトでパッケージ化されているHeteroskedastic probit コマンドで一致推定できることを示したものである。この研究成果は、「第10回経済理論・政策ワークショップ」(青山学院大学)において報告された。また、一般化された離散動学モデルの推定に関し、新たな手法を開発した。この手法はモンテカルロ実験により、既存の推定方法よりも優れたパフォーマンスを発揮することが確認されている。現在、25年度の日本経済学会およびEconometric Society Asia Meetingでの成果報告を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計量分析の手法に関しては、いくつかの結論を得ており、おおむね順調に進行している。しかしながらデータ分析のパートは、データの諸問題(欠損)の解決がなされておらず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
計量分析の手法は、順次学会報告・学術誌への投稿を行う。実証分析のパートは、主に法科大学院受験生の大学院選択問題と、受験時の倍率が終了後の司法試験合格率に与える影響の実証分析を中心にまとめる予定である。
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