2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730187
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
有本 寛 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (20526470)
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Keywords | 換地 / メカニズム・デザイン / 農地の集積 |
Research Abstract |
平成23年度は,「交換分合のシミュレーション分析」および「換地選定の資源配分問題としての定式化」を中心に研究を行った.「シミュレーション分析」は,農家が自発的に交換分合に応じるためには,交換を持ちかける依頼先が,依頼元の区画を欲する「欲求の二重一致」が実現しているという制約下でどの程度交換が実現するかをシミュレーションで検討した.一方,「換地選定の資源配分問題としての定式化」は,換地選定メカニズムが満たすべき要件を定義するものであり,法的・制度的要件の他に,メカニズムとしての中立性,透明性の他に,資源配分問題として換地選定をみたときに求められる規範的要件(効率性,安定性,公平性等)をミクロ経済学的な立場から検討している. 平成23年度に公開された成果としては,以下がある: (成果1)『農村計画学会誌』誌に「換地をめぐる利害対立と合意形成―新潟県新発田北部地区の事例―」(中嶋晋作氏[研究協力者,明治大学農学部]と共著)が『農村計画学会誌』に出版された.本研究は,換地を巡る利害対立と合意形成を検討した論文である.換地選定の際に,従前地(原地)の継承と換地の集団化の間にトレードオフが存在すること,この緩和策として,従前地継承にこだわりのない一部の非耕作者に継承原則を適用せず,耕作者の経営区レベルでの集団化を優先させる形で合意形成が図られたことを明らかにした. (成果2)一橋大学経済研究所経済制度研究センター・Working Paper Seriesに “The Impact of Farmland Readjustment and Consolidation on Structural Adjustment: The Case of Niigata, Japan” を公開し,現在国際誌に投稿・査読中である.本論文は,圃場整備が農地流動化に与える効果を定量的に分析したものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
換地選定に関する定性的な研究成果は,平成23年度の成果1(中嶋晋作・有本寛(2011)「換地をめぐる利害対立と合意形成―新潟県新発田北部地区の事例―」『農村計画学会誌』30(1):65-73)として公表できた.また,成果2(Arimoto, Y(2011)"The Impact of Farmland Readjustment and Consolidation on Structural Adjustment: The Case of Niigata, Japan")は一橋大学経済研究所経済制度研究センター・Working Paper Seriesで公開した.国際学術専門誌に投稿し査読を経て改訂中である.
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Strategy for Future Research Activity |
既に終わっていることではあるが,平成24年度は,換地選定に関する農家の意向の把握するための意向調査を実施し,分析を行う. また,新たな換地のメカニズム・デザインの開発に関連して,(1)交換分合のシミュレーション分析,および(2)換地選定の資源配分問題としての定式化を念頭においた論点整理を行う.
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Research Products
(2 results)