2010 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な発展のための最適な資金メカニズムと技術戦略に関する研究
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22730192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬奈木 俊介 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (70372456)
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Keywords | 環境経済学 / 資源経済学 / 技術戦略 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題の初年度となる平成22年度は、価格付けのされていない環境の価値を距離関数(Managi,2008)を用いることで金銭評価を行い、企業の環境力を評価し順位付けを行うための手法を提案した。なぜなら海外における企業の「環境力」評価は、企業経営全般の評価が中心であり細かな環境の取組を評価されておらず、環境が適切に評価されれば環境の取組が競争力強化につながるため環境力向上のインセンティブとなるからである。そこで本研究課題では、金融市場での競争の促進と投資資金の呼び込みを的確に行うため、企業のリターン最大化とリスク最小化を同時に行い10年程度の期間のデータを日本、アメリカ、EU、インド、中国の株式市場のデータを用いることで環境を力にするビジネス成長戦略支援の仕組みの構築を試みた。本研究課題の重要な点としては、環境リスク情報など得にくいときでも、わかりやすい情報があれば投資家はリスクを認識できることができ、問題が回避されることにある。さらに現在の金融機関の問題で評価され始めた住宅ローン担保証券の債務不履行リスクを示す指標として使われているマークイットのABX指数など純粋な格付け以外の指標(Taylor,2007)も統合して使うことができる。一般に、環境に関わる規制を厳しくすれば市場規律を働かせる足かせとなる可能性が高いが、環境に関わる情報を開示していくことで、むしろインセンティブの働く方向の歪みを是正し、より効率的な市場の規律が有効に働き、環境力を評価できるようになると考える。
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