2011 Fiscal Year Annual Research Report
空間的相互依存・異質性を考慮した動学的外部効果の検証と企業立地政策の評価
Project/Area Number |
22730195
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
河上 哲 近畿大学, 経済学部, 准教授 (60402674)
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Keywords | 動学的外部性 / 地域産業成長 / 技術的近接性 / 探索的空間データ分析 / 成長クラスター / 名古屋大都市圏 |
Research Abstract |
産業集積に基づく動学的外部性(知識のスピルオーバー)と地域産業成長との関係について、成長の空間的な相互依存性を考慮に入れた分析モデルを構築して実証分析を行った。分析では、地域間の近接性が表現される地理的空間だけでなく、産業間の技術的連関(産業間リンケージ)の近接性が表現される技術的空間も考慮した探索的空間データ分析の手法を応用して地域産業の成長クラスターを検出した。特に産業間リンケージの近接性には、産業間の「経済的距離」を測る指標であるAverage propagation lengthを利用することを提案した。 輸送用機械をはじめとする製造業の一大集積地である名古屋大都市圏を対象とした実証分析の結果によれば、西三河地域を中心に、産業構成や地理的範囲の異なる成長クラスターが層を成して形成されていることが明らかとなった。輸送用機械産業単一から成る成長クラスターは地理的に広範囲に形成されているのに対し、多様な製造業やサービス業から成る成長クラスターは狭い範囲に形成されている。このことは、異業種の産業集積(産業の多様化)に基づくJacobs型の知識スピルオーバー効果は、同一業種の産業集積(産業の特化)に基づくMAR型のそれと比較し、地理的範囲が広くなるとともに減じる程度が大きいことを示唆するものである。 一連の研究成果は国内外の学会・研究会において報告を行い、査読付き国内学術誌に発表した。また厳密な統計解析を行った研究成果を英文論文にまとめ、国際学術誌に投稿し査読審査中にある。
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