2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730216
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
蟹 雅代 帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (20509187)
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Keywords | 特許価値 / 特許データ / 特許更新モデル / 経済統計学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Pakes and Schankerman(1984)の特許更新モデルを拡張し、日本の特許価値(私的価直)の分布を実証的に評価することである。このモデルでは、初期の特許収益が毎期一定割合で減耗していくと仮定され、特許価値は収益の現在価値の合計として表される。先行研究では、初期の特許収益の分布の仮定に関して、観測事実を反映した分布を仮定したり(log-normal分布、Pareto分布、Weibull分布など)、特許や特許権者の属性をコントロールするという工夫が見られる(Schankerman(1998,RAND Journal of Economics)やBessen(2008, Research Policy)など)。しかし、「毎期一定の割合で減耗していく」という仮定は議論されてこなかった。本研究ではこの点に注目し、陳腐化率が経過時間に依存し変化するモデルに制約を緩め、日本の特許の個別データを用いてモデルを推定する。 平成22年度は、先行研究を参考にモデルの拡張を検討した。具体的には、陳腐化率が時間に依存するとしたモデルを構築し、初期収益の分布や属性についても考慮した推定式を導出する研究を行ってきた。同時に、特許権者の離散的意思決定を仮定するかによって推定方法が異なるため、その点についても考察してきた(Pakes and Schankerman (1984)は非線形最小二乗法であるが、その後初期収益分布にlog-normalを仮定し、数年毎に意思決定を行うと想定するordered probit modelの研究も見られる)。また、特許属性(被引用件数や技術分類)や企業属性(規模や産業分類)をモデルに含めるため、データを作成中である。
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