2010 Fiscal Year Annual Research Report
対距離課金による道路整備を通じた道路容量と道路空間配分の最適化
Project/Area Number |
22730230
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
味水 佑毅 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (80401678)
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Keywords | 限界費用課金 / 対距離課金 / 道路容量 / 最適化 / 平均費用課金 / 道路空間配分 / 交通インフラ / 費用負担 |
Research Abstract |
本研究の目的は、道路整備における受益者負担問題を道路利用者の「負担」を道路に係わる「費用」に一致させる最適化問題と捉え、諸外国で導入されつつある対距離課金による道路整備を通じて、最適道路容量の導出とそれに伴う道路空間配分の最適化の分析と提案を行うものである。 この目的のため、本研究では、大きくわけて、下記の2つの政策シミュレーションを並行して実施することを計画している。 (1)社会的限界費用課金理論に基づく道路容量の最適化に関する政策シミュレーション (2)表明選考法に基づく道路空間配分の最適化に関する政策シミュレーション 最終的には、これらの連携的な実施から対距離課金を起点とした、これからの道路整備における計画論を提示する。 このために、本度は、必要となる道路統計データの電子化作業などを行うとともに、対距離課金に基づく道路整備の計画論が依拠する課金理論として、「長期社会的限界費用課金」に着目し、理論的な考察とシミュレーション分析を実施した。シミュレーション分析の結果かちは、効率性の面では短期社会的限界費用課金に基づく計画論が優れているものの、公平性の面で長期社会的限界費用課金に基づく計画論も有用であることが示された。 これまで道路整備の財源調達にあたっては、燃料税をはじめとする取得・保有・走行の各段階で課される税からなる自動車関係諸税が大きな役割を果たしてきた。しかしながら、それら諸税は道路走行にわらず収される平均費用課金と理解することがでる。本年度の研究で明らかになったことは、短期社会的限界費用課金に基づく計画論も長期社会的限界費用課金に基づく計画論も社会的平均費用課金に基づく現在の計画論より優位であるとともに、公平性を考慮すると、長期社会的限界費用課金に基づく計画論がより現実的に有用であるということである。このことは本研究で提示する計画論の主たる枠組みを構築した点で重要な成果であると考える。
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