2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730237
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
梶谷 真也 明星大学, 経済学部, 准教授 (60510807)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会保障 / 格差 / 健康 / 就業 / 相対的貧困 |
Research Abstract |
本研究の目的は,健康格差と所得の不平等との関係について,(1)人々の健康度に不平等が観察されるか否かを確認したうえで,(2)社会(集団)全体での所得の不平等度が個人の健康に与える影響と,(3)他者との所得の相対的な差が個人の健康に与える影響とに分けて,それぞれの影響を計量的に明らかにすることである. 平成24年度は(1)に関する分析のうち,平成23年度に公表した部分を除く成果を新たに研究論文としてまとめた.具体的には,日本の高齢男性者において,長年従事した仕事がブルーカラー職であった人のほうが専門的・管理的仕事や自営業であった人よりも高齢期における身体的能力が低下するタイミングが早いことを指摘した.そして,この成果を査読付き国際学術雑誌に投稿した. 加えて,平成24年度は(3)に関する分析として,高齢者を対象とした大規模パネル調査のマイクロデータを用いて,ある個人の高齢期のある時点における絶対所得水準と相対所得水準がその後の健康状態にどう影響するかという分析(高齢層における所得の不平等度が健康に与える影響)の結果を研究会で報告した.具体的には,日本の高齢者において,絶対所得やその他の個人属性,異質性などをコントロールしても,相対的に豊かでない人が不健康になることを報告した.そして,得られたコメントをもとに研究論文の修正を行って査読付き学術雑誌に投稿する準備を行った.また,(2)についても,使用するマイクロデータのデータクリーニングを行うとともに,先行研究のサーベイを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の(1)~(3)のうち,(1)と(3)についてはおおむね計画どおり進んでおり,順調に研究成果を挙げている.また,(2)については,当初の計画よりも若干遅れているものの,データクリーニングならびに先行研究のサーベイに取り組むことができている.
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Strategy for Future Research Activity |
事業最終年度に当たる次年度は,平成24年度に研究会で報告した「高齢層における所得の不平等度が健康に与える影響」に関する分析について,レフリー付国際(国内)学術雑誌に投稿する.加えて,本研究の目的の(2)と(3)については,引き続き,先行研究のサーベイを行って理論的な考えについて整理をし,実証モデルから得られた推定結果をまとめる.それらを研究会・セミナー等で報告し意見交換を行い,問題点・改善点の整理を行う.そして,レフリー付国際(国内)学術雑誌に投稿する準備をする計画である.
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