2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22730243
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
中神 正史 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 助教 (30454979)
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Keywords | 母子保健 |
Research Abstract |
本研究の目的は、低所得国における母子保健に関する家計行動を明らかにし、低所得国の主たる政策課題である母子の健康不良の改善に寄与することである。本年度は、グアテマラの世帯調査を用い、以下の研究を進めた。第1は、所得のカロリー摂取弾力性の推計である。本分析は、家計の経済水準の向上が、母子の健康改善に与える影響の分析を目的としている。本年度は、分析に用いるデータを作成した。 第2は、母子の健康状態の評価(認知)の社会階層間の相違の分析である。低所得国においては、社会経済的に劣位にある家計は、社会経済的に優位にある家計に比べ、健康状態を過大に評価する傾向があることが指摘されている。そのため、社会経済的に劣位にある家計の方が、健康状態が悪いにも関わらず、健康を改善する誘因が低い可能性がある。本分析は、乳幼児の健康状態に関する母親の主観的な評価について、計量経済学の手法を用い、この点の検証を試みた。本年度は、まず分析に用いるデータを作成し、関連する先行研究に依拠したモデルを推計することにより、分析を行った。本研究の目的からは、本年度分析に用いたモデルの妥当性は必ずしも明瞭ではなく、分析結果の頑強性は明らかではないものの、分析結果は、所得水準が低い家計の母親は、高い家計の母親に比べ、乳幼児の健康状態を過大に評価する傾向があることを示唆する。本分析の成果をまとめたものは、ラテン・アメリカ論集(ラテン・アメリカ政経学会・学会誌)にて公刊された。
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