2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22730243
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
中神 正史 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (30454979)
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Keywords | 母子保健 |
Research Abstract |
本研究は、複数の民族で構成される低所得国の母子保健に関する家計行動、また母子保健に関する政策の影響を、計量経済学の手法を用いて分析する。その上で、低所得国の母子の健康不良の改善に寄与する政策への示唆を得ることが、本研究の目的である。 本年度は、昨年度に引き続き、多民族社会であるグアテマラの世帯調査を用いて、(1)カロリー摂取量の所得弾力性に関する研究、(2)母子の健康状態の評価(認知)の社会階層間・民族間の相違に関する研究を進めた。それに加え、(3)分娩施設の選択行動に関する研究を開始した。 以上の分析を進めるにあたり、本年度は、主に現地調査ならびに人類学の文献調査などにより、計量分析モデルの選択、また推計結果の解釈などに必要な情報を把握することを試みた。これは、民族・言語が多岐にわたるグアテマラにおいては、保健に関する意志決定などが、民族・言語などにより、大きく異なる可能性を持ち、先行研究に依拠した分析モデルを用いた計量分析、またその推計結果の解釈に、留意が必要とされるためである。 調査から得られた知見のうち、計量分析を進めるにあたり、留意が必要な主なものは、以下の通りである。第1は、先住民族、なかでもスペイン語の能力が低い家計では、母親の母子保健に関する家計内の影響力が、相対的に低い可能性がある。第2は、先住民族、なかでもスペイン語の能力が低い家計は、母子保健に関して、伝統的助産師などの家計外の主体から受ける影響が大きい可能性がある。その影響は、分娩施設の選択なども含まれる。したがって、伝統的助産師は、分娩施設の選択肢のひとつであると同時に、家計の分娩施設の選択にも影響を持つ主体である可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グアテマラの事情を十分に勘案せず、分析を進めたものの、問題点が明らかとなり、現地調査などを行うことが必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の現地調査、文献調査などから得られた知見を踏まえ、計量経済学の手法を用いて分析を行う。
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