2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害教育および障害者雇用政策に関する理論・実証分析
Project/Area Number |
22730244
|
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
坂本 徳仁 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所障害福祉研究部, 流動研究員 (00513095)
|
Keywords | 聴覚障害教育 / 障害者雇用政策 / ミクロ計量経済学 / 仮想市場評価法 |
Research Abstract |
聴覚障害教育の研究については、ろう学校に通学する聴覚障害児童の学力の状況とその決定要因を分析するために、質問紙調査を実施するための調整をはかってきた。具体的には、特定地域のろう学校および父母会と調整を行ない、平成23年度中に質問紙調査を実施できるように準備を進めてきた。また、全国難聴児をもつ親の会への研究協力の依頼と研究内容の説明を行なうことを目的として、季刊誌『べる』に、普通学校に通学する聴覚障害児童の学力の決定要因に関する一般向けの解説を掲載した。解説の内容は、聴覚障害児童の学力を高めるためには、(1)学校外での学習時間の多さ、(2)就学前の手話の環境、(3)通常学級における要約筆記支援、の三つの要因が重要であり、その他の要因は統計的には目立った効果が認められなかった、というものである。 障害者雇用の研究については、研究協力者と共に仮想評価法に基づく分析を行なうための準備を進めるとともに、聴覚障害をもつ労働者についての聞き取り調査を行なってきた。聞き取り調査については平成23年度以降も継続し、仮想評価法に基づく計量分析は平成23年度中に質問紙調査を実施する予定である。また、(1)聴覚障害者の就労及び進学状況に関する既存の統計資料を分析した報告(過去30年の間に職安での就職状況は8割台から2割台へと大幅に悪化していること、ろう学校の進学状況については大学・短大への進学率が上昇している一方で、無業者の割合も増加傾向にあること、などの点を示した報告)、(2)障害者差別禁止法が障害者の雇用・賃金水準に及ぼした影響を計量的に分析した海外の研究のサーベイ(障害者差別禁止法の導入が障害者雇用には少なくとも正の効果をもたず、賃金水準については健常者との賃金格差が悪化する可能性があること)、の各々を書籍として平成23年度中に公刊する予定である。
|
Research Products
(2 results)