2010 Fiscal Year Annual Research Report
低炭素社会の実現に向けた公的助成制度の費用対効果の分析
Project/Area Number |
22730246
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
明城 聡 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (70455426)
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Keywords | 太陽光発電 / 余剰電力買取 / 公的補助金 / 低炭素社会 / 構造推定 / 離散選択モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、地球温暖化問題に向けた環境政策のパフォーマンスを産業レベルのミクロデータから明らかにし、社会的便益の観点からその費用対効果を定量分析することである。平成22年度は、研究計画に従って太陽光発電産業から補助金制度や優遇税制などの政策事例を取り上げ、産業組織論のフレームワークにもとづいた構造推定の手法によりそれらのインパクトを測定した。太陽光発電産業では、一般家庭での太陽光発電の導入を促すことを目的として1994年から2005年にかけて総額1340億円にのぼる公的補助金が投入されている。本年度は、この補助金が太陽光発電の普及に与えた影響を需要と供給を考慮した経済モデルによってシミュレーション分析するとともに、社会余剰の観点から補助金制度の費用対効果を算出した。この研究成果は、平成22年度日本経済学会春季大会(千葉大学)にて報告を行った。また太陽光発電については、平成21年11月より新しい余剰電力の買取制度が導入されている。この制度は、一般家庭に新規に導入される太陽光発電についてそれまでの2倍となる48円/kWhにて10年間余剰電力を買い取るものである。この制度についても構造推定の手法を用いて普及効果および費用対便益を算出した。この研究の初期成果については季刊誌である住宅土地経済No78に掲載されている。なお、これら研究と関連した構造推定に関する理論研究として、離散選択モデルを用いた需要・供給モデルの推定精度に関する論文を神戸大学ディスカッションペーパーシリーズとしてまとめた。
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Research Products
(3 results)