2011 Fiscal Year Annual Research Report
基礎年金の全額消費税方式の移行時における課題に関する研究
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22730248
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木村 真 兵庫県立大学, 大学院・シミュレーション学研究科, 准教授 (50419959)
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Keywords | 財政学 / 社会保障 / 基礎年金 / 年金改革 / 税方程式 |
Research Abstract |
現在、わが国では社会保障と税の一体的な改革が進められようとしており、その議論の中で基礎年金の財源として消費税の増税が検討されている。また、様々な議論の中には、基礎年金の財源を全額消費税で賄う方式も提案されている。しかし、わが国の税と社会保険料は課税ベースを共有するなど互いに密接に関係しているにもかかわらず、これまでは政府内で行われた試算も含めて年金制度の枠内にとどまるものがほとんどであった。そこで本研究では、基礎年金のあり方に関する議論に資するべく、税方式移行時に生じる課題について財政と社会保障の一体的構造に着目して分析し、対応策を検討することを目的としている。 研究二年目にあたる平成23年度は、(1)年金改革、税制改革の動向に関するサーベイ、(2)応用一般均衡分析に用いる多部門多世代重複モデルの拡張に主に取り組んだ。(1)に関しては、現在進められている社会保障と税の一体改革の議論をフォローするとともに、公的年金の分立や財源選択の歴史的経緯について研究を行った。公的年金の一元化や財源選択の議論は社会保障制度の草創期にまでさかのぼるが、最近の議論ではこうした歴史的な経緯を必ずしも十分に踏まえたものとなっていない。そこで、平成23年度の研究では、初年度に収集整理した公的年金の一元化と財源選択に関する歴史的資料をもとに、基礎年金の議論を含め、公的年金の制度が分立していった過程について研究を進めた。成果はすでにまとめられており、次年度に発表できる見込みである。また(2)については、最終年度の研究に向けて、初年度の成果で得た多部門モデルの拡張およびデータの更新に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年4月より所属研究機関が新設の大学院へと変わり、教育や研究の環境整備に時間を割かねばならなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
所属機関の変更等により、当初の予定より研究成果の発表や応用一般均衡分析において遅れが生じている。しかし、現段階では、研究内容そのものについては計画当初の予想を超えるような大きな障害は発生しておらず、研究成果も得られつつある。したがって、当初の研究方針は堅持し、研究補助の積極的な活用も含め、遅れを取り戻すべく鋭意努力したい。
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