2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730268
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
玉井 寿樹 近畿大学, 経済学部, 准教授 (00456584)
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Keywords | 財政政策 / 経済成長 / 不完全競争 |
Research Abstract |
本研究では、現実的な社会環境・税制政策の下で財政政策の効果を明らかにすること、及び政策判断の基礎資料を提供することを目的としている。本年度では、不完全競争市場を前提とした上で、現実的な社会環境・税制政策を考慮に入れた数学モデルを構築し、財政政策の効果を動学的に検証してきた。 その一つの成果は「Are Fiscal Sustainability and Stable Balanced-Growth Equilibrium Simultaneously Attainable?」としてまとめられ、本年度改訂を行い、査読付学術誌に公刊された。この論文では日本をはじめとした先進諸国が巨額の財政赤字の中で政策を実行している点を踏まえ、財政及び経済成長の維持可能性を検証しており、ある一定の国債残高対GDP比の範囲内であれば財政・経済成長とも安定的に維持可能であることを示している。 また、この成果を踏まえた上で、論文「Unemployment equilibria and economic fluctuations in a monetaryproduction economy」を執筆し、所属機関のワーキングペーパーとして公表した。この論文では、従来の賃金決定と所得分配を同時決定する枠組みを相互決定する枠組みへと改めることで、総需要不足による失業及び景気循環が発生する可能性を示している。これらの研究成果は市場が有効に機能し得ない場合に政府が積極的に総需要の喚起を図ることが雇用、生産の拡大のみならず厚生の改善にも寄与することを示した点で現実の政策運営に対して、政策判断のための基礎資料を提供することに成功している。
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