2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730270
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
松崎 大介 沖縄国際大学, 経済学部, 准教授 (00389610)
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Keywords | インフレ税 / 貨幣経済 / 課税政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は,企業間取引に関して流動性需要が存在する場合を想定し,貨幣供給による財源調達(インフレ税)を代表とした各種の課税政策が社会経済およびその厚生に与える影響を明らかにすることにある.本研究で考える流動性需要とは,企業間取引を円滑に行うために必要となる流動性(貨幣)需要である.企業間取引に用いる貨幣は,家計の保有する貨幣を企業に貸し出すことで供給されることを考えると,一定の政府支出を支える財源を所得税からインフレ税に変更した場合,家計の資本・貨幣保有の代替関係と企業の生産に同時に変化が生じ,経済成長や厚生に影響を与えることが想定される. 研究計画初年度の今期においては,まず本研究の基礎となる理論モデルの構築を行った.貨幣の存在が生産に際して正の影響を及ぼすという議論は,古典的にはLevhari and Patinkin(1968)やFisher(1974)などの研究においても存在する.インフレ税と所得税の関係に注目しつつ,企業の生産性の一部に貨幣保有が関与する理論モデルの構築を行った.モデルの安定性に関する点を解析的に証明することがやや困難であったが,これらの問題に関しては解決の目処がたった.そのため,成長モデルの枠組みの中で解析的に課税政策の影響を分析することができそうである.数値解析については,遷移過程のある,より短期の状況を想定した経済モデルの下での経済状況を数値解析することは大きな意義があり,これらの状況下での分析に関しては来期以降の課題としたい.
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