2011 Fiscal Year Annual Research Report
職場のオープン化・流動化が個人と組織に及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
22730287
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲水 伸行 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50572830)
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Keywords | 経営組織 / 意思決定 / コミュニケーション / 組織デザイン / シミュレーション / オフィス |
Research Abstract |
職場のオープン化・流動化に伴うワークスタイルの変化が個人・組織にどのような影響をもたらすのかが本研究の課題である。一般的に、職場のパーティションをなくし、席も自由席化すると、部門やチームの境界を越えて、多様で異質な人どうしの意図せざるコミュニケーションが自然発生的に起こり、問題解決やイノベーションが促進されると考えられているが、この点について実証分析とシミュレーション分析の両面から経営組織論的に検討するのが本研究の目指すところである。 平成23年度は、「職場のオープン化・流動化が果たして意図せざるコミュニケーションを活性化」させるかどうかについて、平成22年度に構築したシミュレーション・モデルの実証研究に取り組んだ。実証研究にあたり、IT業界におけるグローバル企業2社に主にヒアリングと職場観察を実施した。シミュレーション・モデルの1つはAxelrod(1997)の文化変容モデルの拡張モデルで、職場空間の広さが重要な要因となることが示唆された。この点について、対象企業はオフィス移転とともに広くなった空間を適切にマネジメントすることで、コミュニケーションの活性化を引き出していた。このことはシミュレーション結果を十分に支持するものだった。 もう一つのモデルはCohen et al.(1972)のゴミ箱モデルの拡張モデルで、オープンで流動的な職場において、個人の仕事活動が断片化されたり、個人が仕事に対して受動的だったりすると、「やり過ごし」が蔓延するということが示唆された。この点について、対象企業では、ワークスタイルの変革も含めて実施することで、上記のような問題にアプローチしていることが明らかとなった。このことはシミュレーション結果を支持するものだった。
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