2011 Fiscal Year Annual Research Report
製品アーキテクチャと組織能力の共進化過程に関する実証研究
Project/Area Number |
22730288
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
福澤 光啓 成蹊大学, 経済学部, 専任講師 (80572833)
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Keywords | 経営学 / アーキテクチャ / 組織能力 / 組込システム / デジタル化 / イノベーション / 生産組織 / 製品開発 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度に引き続き、企業関係者への詳細な聞き取り調査を行うとともに、聞き取り調査内容の整理および分析を進めて、主として、理論的枠組みの構築を進めた。自動車産業を対象として聞き取りならびに現場観察調査を行った。同時に、製品開発や組織能力に関わる文献も収集しサーベイを進めた。それにより、製品アーキテクチャの変化と開発組織の詳細な状況について把握するとともに、学術的・実務的に意味のある作業仮説を導出し、一部の実証分析を進めることができた。複合機や情報家電、自動車においてデジタル化が進んだことにより生じる、開発組織内での部門間のコンフリクトやパワー関係について焦点を当てた。それらの分析を通じて、開発組織においては、メカ開発部署、エレキ開発部署、ソフトウェア開発部署間、および、事業部間の両方におけるコンフリクトとコミュニケーションのあり方が、製品アーキテクチャの選択に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。このように、聞き取り調査にもとづく事例研究によって、製品アーキテクチャと組織能力の共進化過程という、これまでほとんど実証的に分析されてこなかった現象を、包括的に分析することのできる分析枠組みの一部を構築できたと考えられる。その成果の一部は論文として公表されており、今後も継続して調査・研究を続けることで、さらなる成果を得られると期待される。今後も研究を継続していきたい。 さらに、平成22年度に引き続き、特定の自動車企業を対象として、生産職場への濃密な現場調査も実施した。自動車のデジタル化や経営環境の変化といった大きな環境変動に対して、自動車の生産職場では、どのような適応行動がとられているのかということについて、主として、現場のグループリーダーに着目して分析を進めた。それにより、自動車生産の競争力を支える組織能力の一つの源泉について明らかになってきた。その成果の一部は学会や学術雑誌において公表されており、今後も継続して調査・研究を続けることで、さらなる成果を得られると期待される。これについても、今後も研究を継続していきたい。
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