2010 Fiscal Year Annual Research Report
旅館業における高品質サービス提供に向けた組織活性化に関する研究
Project/Area Number |
22730289
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
白肌 邦生 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (60550225)
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Keywords | サービス組織 / 組織活性化 / 旅館業 |
Research Abstract |
本研究は,サービス業としての旅館を対象に,高品質のおもてなし提供に向けた組織・人材のあり方を分析することを目的としている.平成22年度はこの研究のための基礎的データ収集・整理を行った.具体的には,石川県に所在する老舗温泉旅館グループのモラルサーベイおよび関連インタビューデータの収集・整理,顧客満足度調査データの整理を,次のような仮説的な活性化モデルを基に行った.『過去の業務実績をもとに現在のキャリア意識が形成され,未来へのサービス提供目標・ビジョンへの活力に結実する.積極的なサービス提供活動を通じて当初のサービス目標・ビジョンを達成することで,個人の中に業務達成感や組織への忠誠心,および職務満足感が生み出され,更なる職務意欲のサイクルを生み出す』.分析の結果,組織活性化を推進していくためには,中堅を含む従業員に中長期ビジョンを効果的に形成する必要があることを見出した.従業員満足に関しては業務評価の充実が大きく影響しているため,評価の枠組みを形成する必要性を見出した.組織への忠誠心に関しては,勤続年数が高まるほど高く,これは活力の状況とも類似していることがわかった.中長期キャリアビジョン形成は活力のみならず組織への忠誠にも関わることが示唆された.これらから,サービス従業員は日々の業務に追われがちであるが,自身のキャリアを真剣に考えることで,中長期的な活力の方向性を見いだす必要性を確認することができた.こうした特徴を明確にするために,石川県のホテルを対象に,その従業員のサービス提供についてもインタビュー調査を行っている。なお,本研究成果は対象旅館とのデータ公開に関する議論が必要であったため,今年度での一般への成果発表を見送った.23年度はホテルとの比較等を通じて,成果を広く公表することを予定している.
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