2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会的責任投資の普及のための企業の環境取組情報開示についての研究
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22730290
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 牧子 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00379504)
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Keywords | 企業の社会的責任 / 社会的責任投資 / 情報公開 |
Research Abstract |
社会的責任投資が普及するためには、各企業の環境取組情報が投資家に十分に開示される必要がある。この情報開示に対して各企業はどれほど協力的であり、またその協力度はどのような要因に影響されるのであろうか。本研究では、社会的責任投資の取組のひとつとして大手金融機関が始めた「温暖化ガス排出に関するプロジェクト(Carbon Disclosure Project: CDP)」が実施しているアンケートに対する企業の回答状況の分析を通して、上記の問いに答えることを目的とする。 この目的のため、2010年度に企業財務データをはじめ、必要なデータ収集を実施し、2011年度には推定を実施した。CDPアンケートへの協力度合いは、CDPのHPで開示されている。協力度はいくつかに分類されるが、今年度は、「無回答」または「参加拒否」という環境取り組みに関する情報を全く提供しない回答と、「アンケートに回答」または「情報を提供」という環境取り組みに関する情報を何らかの形で提供している回答に大別した。前者を0、後者を1とする被説明変数を作成し、プロビットモデルで推定を行った。この推定においては、売上高や利益の大きさといった変数に対して有意にプラスの結果が得られたものの、外国国籍の個人及び外国の法律によって設立された法人による持ち株比率や、浮動株比率などの変数が有意に推定されなかった。このため、2012年度は、さらに推定方法の改良を行う必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2010年度におけるデータ収集が若干遅れ、作業の一部が2011年度にずれこんでしまった。このため、2011年度の作業内容であった推定に使う時間がとられてしまい、予定していた推定の一部が実施できなくたってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度においては、モデルの推定方法を工夫し、頑健性を確認する作業を行った後、結果の公表に向けて、論文を執筆・投稿する。 また、追加の推定の過程で、新たなデータ収集の必要が生じた場合には、時間を節約するため、アルバイトに手伝ってもらうなどの工夫をし、遅れが生じないように努める。
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