2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730300
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山藤 竜太郎 横浜市立大学, 大学院・国際マネジメント研究科, 准教授 (00432055)
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Keywords | 仲介機能 / 組織間関係 / ネットワーク組織 / 中小企業 / ベンチャー企業 / イノベーション |
Research Abstract |
平成22年度は4カ年の研究の初年度として、文献調査および質問票の設計を行った。 文献調査の結果、本研究の課題である「製造業における仲介機能に関する実証研究」が依拠すべき理論的背景として、取引コスト理論ではなく、組織間関係論やネットワーク組織論の知見が有効であると判断された。 Ronald H. CoaseやOliver E. Williamsonにはじまる取引コストのアプローチによる研究蓄積は非常に重要であるが、数学的なモデルとして極めて洗練されているものの、外部者がアクセス可能な情報から取引コストを実証的に検証することは困難である。一方で、組織間関係論やネットワーク組織論は数学的なモデルとしての洗練度は取引コストには及ばないものの、複雑な組織間の関係やネットワークの構造の分析に有効であるため、本研究の手法により適切である。 この文献調査の結果に基づき、組織間関係やネットワーク組織についての分析をするための質問票の設計を行い、日本国内の企業にパイロット調査を行うことで、質問票の精度を高めた。平成23年度以降、日本国内およびアジア(主に中国)の企業に質問票の配布し、その回収および分析を進める予定である。 また、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、製造業においてもサプライ・チェーンが寸断されるなど、本研究の課題と密接にかかわる問題が発生した。そこで、以前からフィールド・ワークを行っていた対象である岩手県宮古市のコネクタ産業の産業集積を対象に、「製造業における仲介機能に関する調査」を本研究の一環として推進する計画である。これについては現在調査中であり、その成果は平成23年10月1日~2日に兵庫県立大学で開催される日本中小企業学会第31回全国大会で「岩手県宮古市における産業集積-コネクタ産業における企業間ネットワークに注目して-」として発表予定である。 (文字数:785文字)
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