2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際分業における取引関係の構築及びそのマネジメント
Project/Area Number |
22730302
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
高 瑞紅 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (30420459)
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Keywords | 国際分業 / 取引関係 / 協働 / 技術提携 |
Research Abstract |
2年間をわたってA社本社とその中国拠点、そして提携先の中国パートナー企業でインタビュー調査を行った。それまでの調査内容に基づき、日本国内外の学会報告を行い、論文を作成した。 まず、これまでの調査内容を学会報告した際に議論された問題点を整理し、取引関係の構築とマネジメントをするための課題に関する英語論文を作成し、2011年4月に行われた査読付き国際会議(IPSERA Conference)で報告した。そこで頂いたコメントを反映した上で論文を再構成し、2011年6月に査読付き国際学術雑誌に投稿し、11月に改訂要求を受け、2012年3月に改訂した第二稿を提出した。 『経営と情報(第24巻第1号)』に掲載した論文では、企業間取引の構築についての国際比較を行った。グローバルな生産や流通のネットワークの形成が進むにつれ、欧米企業であれ日本企業であれ、競争優位を維持するために、立地優位性が失われた事業活動をそれに適した海外に移転し、移転によって余った経営資源を国内事業の高度化や新規事業の創出に転用することで、国内拠点と海外拠点の棲み分けを行っている。これら国際分業構造において、意思決定や本社側のサポート体制などの現状を把握し、その際に生じる問題点を明らかにした。 『経営と情報(第24巻第2号)』に掲載した論文では、産業集積に焦点をあて、中核企業は国内外拠点のそれぞれの強みを生かす国際分業を行うことによって競争優位性を維持・強化するとともに、中小企業の創出・育成の機能を発揮することによって産業集積の新陳代謝と地域経済の活性化を進めていくことが重要であることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会での研究報告を予定通り行い、有益なコメントをいただくこともできた。企業側からインタビューへの協力を得ることができたため、追加調査も行うことができた。これらの作業が予定通り進んだため、論文を作成することできた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは国際提携現場に焦点をあてて、そこで起こった問題点を考察する論文を作成し投稿した。 今年度は、投稿中の論文についての改訂などに対応するとともに、国際分業における取引関係の構築に影響する本社の支援体制に焦点をあて、日本本社の支援体制の仕組みを明らかにし、その国際比較を行い、そこでの課題について検討する予定である。そのため、日本本社のインタビュー調査を行うとともに、海外の研究者との連携を強化し、欧米企業の本社機能について調査を進めることを予定している。これらの作業が順調に行えれば、この調査結果を踏まえた論文の作成も行う予定である。
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