2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730314
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Research Institution | Kaetsu University |
Principal Investigator |
森谷 智子 嘉悦大学, 経営経済学部, 准教授 (00449365)
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Keywords | セキュリタイゼーション / 地方金融機関 / ABL |
Research Abstract |
本研究では、証券化商品市場を再活性化させるために、その裏付け資産とABLが重要な鍵になるということを念頭に、ABLに取り組む地方金融機関ばかりではなく、政府系金融機関にもインタビュー調査を実施することにより、その意義と問題点について検討した。その結果、ABLを進めるにあたり、いくつかの問題点があることが明らかになった。ABLは、中小企業のお金の流れを把握するため、そして在庫などの価値を評価するためには有効的な手段でもある。しかしながら、ABLは従来の譲渡性担保融資となんら変わらないという意見もある。また、ABLは換金性が高い動産を担保にしているが、機械、在庫、野菜などの担保を登記することは不可能であるという金融機関側の考えもみられた。つまり、金融庁がABLの取り組みを後押ししたものの、それを実行する環境が整備されていないということになる。そのため、金融機関は、ABLに積極的に実施できない状況が続いているというのが現状である。今後、ABLを推進していくためには、金融庁が動産担保を登記できるようにすることが条件としてあげられる。現在、動産担保として登記できるのが、牛に限定されている。そのため、ABLに取り組むことができる業種が限定され、中小企業の資金調達手段としては、定着しないということが明らかになった。また、これまで、地方金融機関は証券化商品への投資には意欲的であったが購入ができないということがあった。しかしながら、金融危機を受けて、メガバンクばかりではなく、地方金融機関もその組成に消極的になってきている。証券化商品の投資への信頼性を回復させるためには、金融機関の審査基準の厳格化ばかりではなく、格付機関の在り方も問われている。
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