2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア3カ国・地域の経済環境における華人企業の戦略構築に関する比較研究
Project/Area Number |
22730318
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
守 政毅 立命館大学, 経営学部, 准教授 (00434704)
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Keywords | 華人企業 / 戦略構築 / 東アジア / 香港 / シンガポール / マレーシア |
Research Abstract |
平成22年度は、香港の華人企業を対象としながら、経営戦略、経済環境と市場動向、および華人企業に関する先行研究の解析と枠組みの理論的検討を、資料・文献の収集を行うと共にスタートさせた。はじめに、国内外における本研究テーマに関連する最新の研究・調査成果、重要な関連文献を収集して、整理し、検討した。香港大学、中華経済研究院、シンガポール国立大学、香港中華総商会、シンガポール中華総商会等での資料収集に加えて、華人企業の研究で著名な香港大学商学院華人管理センターDavid K.Tseセンター長、中華経済研究院(台湾)の魏聡哲研究員を訪ね、本研究の進展に関わる貴重なアドバイスを受け、資料を入手した。その中で、経営戦略論の枠組みを適用し、各国・地域のマクロ経済環境と各華人企業家が持つ経営資源を活用した環境創造と能力蓄積という視点から捉え直しながら、経営成果がそれら相互作用の結果として経済環境に適応する戦略構築能力から生じるとの研究仮定の妥当性について意見交換し、フィードバックをもらった。次に、香港を代表する企業である長江実業グループに着目し、香港経済の歴史的変遷下における戦略構築について深く事例研究を行った。香港経済は、1980年代以降に英国から中国へと統治が移行する中で英国資本が引き上げ、委託生産の製造業から不動産、運輸、金融、サービス等の第三次産業へと転換した。長江実業グループは、創業者の李嘉誠の果敢な企業家精神と独自のビジネスネットワークを駆使しながら、リスクを恐れず転換期のビジネスチャンスを掴み、プラスチック造花から不動産、運輸を中心に事業を次々と拡張させることで、経済環境に適応する戦略構築能力を蓄積したことを確認した。これらの研究発展にヒントを得て、学問の成果とその理論づけを強化するに至り、その成果を華人経済・経営研究会で報告した。また、平成23年度に論文として成果公表を行う。
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Research Products
(2 results)