2011 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産マネジメントの類型化と国際比較に関する研究
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22730322
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西村 成弘 関西大学, 商学部, 准教授 (70511723)
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Keywords | 経営学 / 経営史 / 知的財産 / 特許管理 / 国際比較 / アメリカ企業 |
Research Abstract |
知的財産マネジメント(特許管理)の類型化を行うため,アメリカ企業(ゼネラル・エレクトリック(GE)社およびウェスチングハウス社)の国内外における特許管理組織の形成と展開を,各国における特許出願データの解析および文書資料館における資料調査・分析を通して明らかにした。GE社およびウェスチングハウス社のアメリカおよび日本における特許出願データの整理は,予定通り本年度に完了した。文書資料館における調査については,ハインツ歴史センター(アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ)ではウェスチングハウス社,アメリカ哲学協会(同州フィラデルフィア)ではGE社とその前身企業における特許管理の方法と組織に関する調査と資料収集を行った。本年度の研究で明らかとなったことは,ともにアメリカ企業でありかつ電気機械分野で事業を行う両社の特許管理の方法と組織は,共通する部分もあるが相違する点も多いことである。具体的には,GE社は19世紀後半に中央本社に特許部を設置したのに対して,ウェスチングハウスはグループ各社に特許部を設置したこと(相違点),他方で国際経営を行うに当たっては両社とも各国に特許管理組織を構築したこと(共通点)が指摘できた。これらの研究成果は,2011年4月2日(ミズーリ州セントルイス)および2012年3月30日(ペンシルベニア州フィラデルフィア)で行われたBusiness History Conference(アメリカ経営史学会)で学会発表した。いずれの学会においても,多数の聴衆の興味を引き,有益なコメントを得た。中国における特許管理の展開については,北京市の北翔知識産権代理有限公司と連絡をとり,知的財産環境の急速な展開に関する情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特許出願に関する計量的調査およびアメリカ企業ケース分析のための文書資料館における調査は予定通り実施でき,分析の成果についてもアメリカにおいて学会報告することができた。他方で中国企業のケース分析についてはデータ解析に着手するものの予定していた現地におけるヒアリングは実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きアメリカ企業に関する文書館資料調査と分析を進めるが,本年度前半はオックスフォード大学ボドリアン図書館文書資料を有利に利用できる環境にあるので,当該資料を用いてヨーロッパにおける特許管理の展開にも調査対象を広げる。年度後半には,北翔知識産権代理有限公司を通して中国企業ケース分析のための現地ヒアリング調査を予定通り行うが,その事前調査と調整は年度前半に着手する。
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Research Products
(3 results)