2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730325
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
麓 仁美 松山大学, 経営学部, 講師 (10549299)
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Keywords | メンタリング / メンター制度 / 組織的要因 / 個人的要因 |
Research Abstract |
本研究の目的は,個人のメンタリングに影響を与える要因とそのメカニズムを明らかにすることである。本研究では,メンタリングの組織的要因や個人的要因に着目し,インタビュー調査による定性的調査と質問紙による定量的調査からの分析と結果の考察を行う。 そのため、当該年度は、「第1ステップ」として,「メンタリング関係はどのように生じるのか」を研究課題とし,事前のインタビュー調査を行った。ここでは,メンタリング関係が生じる背景には,どのような組織的要因や個人的要因が存在するのかについて,インタビュー調査を通じて調査し,得られた定性的データのテープ起こしを行った上で分析を行った。インタビュー調査は,調査範囲は限定せざるを得ないものの,まだほとんど知られていないような現象について理解するために用いることが可能な方法である。したがって,第1ステップの研究課題である「メンタリング関係はどのように生じるのか」という探索的な課題に合致していると考えられる。 これまでのメンタリング研究では,組織的にメンタリング行動を促す施策として,メンター制度の導入などの直接的な制度によるアプローチが主張されてきた。しかしながら,制度により特定のメンターを定めたり,公式的にメンタリング行動を促進したりするアプローチは,メンターとプロテジェ間の葛藤やメンターの能力不足によるトラブルなどの問題を引き起こす可能性も持っており,メンタリングが立ち起こる現場の視点とは乖離していた。 本研究では,実際に組織や職場においてメンタリング関係が生じる背景に焦点を当てることにより,その結果からは,制度ではなく,組織や職場の仕事のあり方を通して,組織は職場や組織のメンタリングを促進することが可能であることを示唆できると考えられる。
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