2011 Fiscal Year Annual Research Report
コーポレート・ガバナンスの「スウェーデン・モデル」と長期的経営革新に関する研究
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22730328
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
岸田 未来 摂南大学, 経済学部, 准教授 (60342424)
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Keywords | スウェーデン企業 / コーポレート・ガバナンス / 経営革新 / エリクソン社 / 企業経営 |
Research Abstract |
本年度の課題は,スウェーデンの主要企業を過去20年間の企業パフォーマンスと「経営革新」の実行という基準で類型分けを行ったうえで,これら企業のうち,大幅な経営改革を実行した企業を取り上げ,そのコーポレート・ガバナンス体制のあり方を,経営者,支配的株主,従業員等の各ステークホルダーの観点から,具体的に明らかにすることであった。予定していた一つ目の作業である,公表されているデータ・資料等を用いた全体的な主要スウェーデン企業の過去20年間における企業パフォーマンスとコーポレート・ガバナンス改革の分類作業については,一部資料データがまだ未入手であるため(Agarna och Makten),本年度内での完成には至っていない。この作業は引き続き次年度に継続する予定である。二つ目の作業である個別企業のケーススタディについては,経営危機とコーポレート・ガバナンス改革による経営革新の典型事例として,通信機器メーカー,エリクソン社を取り上げ,検討した。同社はスウェーデンの伝統的なスフェア企業としての企業統治構造を特徴としていたが,2000年代初頭のITバブル崩壊によって経営危機に陥り,その後のコーポレート・ガバナンス改革と経営改革によって経営革新を成功させた企業である。エリクソン社の事例によって,スウェーデン企業のコーポレート・ガバナンス改革は,伝統的な企業統治の特徴を英米型コーポレート・ガバナンスに適応させたものであることが明らかとなった。この研究成果は北ヨーロッパ学会等で報告・発表しており,次年度には論文化の予定である。また,スウェーデン企業の全体的なガバナンス改革を推し進める背景として,スウェーデン経済界の1990年代以降の政策方針について,先行研究の整理から明らかとした(文献紹介として発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度の2月半ばより、平成23年度の6月中半ばまで産休を取得していたため。この機関の研究は中断扱いとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費の交付期間が一年間延長される予定であるために、中断による研究計画自体の変更は特に行わない。
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