2012 Fiscal Year Annual Research Report
コーポレート・ガバナンスの「スウェーデン・モデル」と長期的経営革新に関する研究
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22730328
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
岸田 未来 摂南大学, 経済学部, 准教授 (60342424)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スウェーデン企業 / コーポレート・ガバナンス改革 / 経営革新 / 従業員の経営参加 / 従業員代表制 |
Research Abstract |
本年度の課題は、これまでの研究成果の継続として、①スウェーデンの主要企業を過去20年間の企業パフォーマンスと「経営革新」の実行という基準で類型わけを行う、②具体的事例研究としていくつかの企業を取り上げ、そのコーポレート・ガバナンス体制のあり方を、経営者、支配株主、従業員等の各ステークホルダーの観点から具体的に明らかにする、③スウェーデン企業のコーポレート・ガバナンス・モデルについて、その特質をより明確にするために、日米企業との比較検討を行う、の三点であった。 本年度の研究成果としては、①の作業については本年度内に完成はしていないが、継続して資料・データを作成中である。②の事例研究については、通信機器メーカーのエリクソン社の事例研究と、特定企業ではないがスウェーデンの主要企業における、取締役会への従業員代表制の役割とその変化を検討することができた。スウェーデン企業では、企業レベルの労働組合が期y号の事業改革などに積極的に関与していることが明となった。これらについては学会発表および論文化という形で公表している。③については、主に先行研究のサーベイから、日米企業は、スウェーデン企業のようにステークホルダー(従業員)が従業員代表制を通じて、公式にコーポレート・ガバナンスに関与する制度を持たないが、ステークホルダーの利害をガバナンスに反映させるメカニズムが、両国の企業にも備わってきたことが明らかとなった。この点はコーポレート・ガバナンスの「スウェーデン・モデル」を規定するうえで、重要な知見であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集および関係機関へのインタビュー、スウェーデン人研究者との研究交流が順調に行われており、これら個々の成果を論文と学会発表にまとめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が研究計画の最終年度であるために、これまでの研究成果全体をまとめて公表する予定である(学会発表、査読付き論文など)。また、現地調査では、これまでのインタビュー調査を補完するインタビューを複数予定している。
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